モチベーション維持という課題

介護職は、一つひとつの場面にどのような対応をするかという対症療法的な仕事観ばかりが植え付けられやすいという傾向があります。この対症療法的な仕事というのは、即興性があり、即興性のある仕事は最初のうちは楽しいというのが特徴です。個々の場面での対応力が評価されることで、個人の裁量を広げるという点は良いのですが、そこで高まるモチベーションというのは一時的なものになりがち。たとえば、高齢者の場合、目に見える身体状況というのは、どんなにリハビリにいそしんでも、徐々に低下していくことは避けられません。認知症も基本的には不可逆なので、利用者の反応は少しずつ衰えを見せるようになるかもしれません。このような状況下に置かれた場合、即効性だけを心の支えにしていると、業務を行ったり職歴が長くなったりする中で、次第に達成感を感じられなくなることもあるようです。ここで、どうモチベーションを維持していくかという課題が出てくるのです。

では、モチベーションを維持するためにはどうすれば良いのでしょうか。まず挙げられるのは、一つひとつの業務がなぜ必要なのかという根拠を意識すること。介護職は、感情労働や肉体労働と表現されますが、根拠を導いたり、情報を分析したりと頭脳労働も求められます。ここで注意したいのは、介護現場においては、利用者に対して「心身状態が悪化していないか?」「意欲低下が進行していないか?」などを意識しなければならないこと。そのため、なぜ、どうしてという思考をフル回転させながら、どう接したらいいのか、サービスの精度をスピード感をもって高めていくことがモチベーションの維持につながるでしょう。